秋の宮温泉郷(あきのみやおんせんきょう)

【交通】
 車:湯沢横手道路湯沢ICより国道13号線を新庄方面へ走り、国道108号線で左折、
    そのまま延々と走ると到着。ICからは約30KM。
    悪路はないが、冬は絶対に積雪があるので、そのつもりで。駐車スペースは、各宿にあり。
    宮城側からは、東北自動車道古川ICより国道47号線、108号線を走っていくと到着。

    マピオンでの周辺地図

【共同浴場】
 外来入浴のみのところはあるが、共同浴場としての存在ではない。
 宿の立ち寄り入浴を利用する。
 下記の秋の宮温泉郷のサイトから、各宿の立ち寄り時間・料金等参照可。

【宿泊施設】
 旅館・民宿など沢山ある。

 @秋の宮温泉郷

【泉質等】
 単純泉、ナトリウム塩化物泉など。

【効能】
 神経痛、リウマチ、胃腸病など。

【風呂の様子】
 下記参照。他にも宿などは沢山あるのだが、写真の残っているところのみ。


鳴子温泉から秋田方面へ向かう際に必ず立ち寄る秋の宮温泉郷。
デジカメを持つ前から通い続けている温泉の一つです。
お土産物屋さんなどはなく、静かな山間の温泉地。
湯量も多く、個性的なお湯が多くて、何度行っても飽きません。
行く度に毎回寄っているのが、こちら「衆楽荘」さんです。

 

男湯と女湯が左右対称に作られており、
銭湯を思わせる雰囲気です。
いつ行ってもきれいに清掃されており、気持ちよく入れます。
タイルの浴槽には、無色透明のお湯が投入され、
その音だけがざあざあと浴室に響いています。
浴槽には深さや広さに差があって、多少の温度差が設けられています。
寝湯は特にぬるめで、ここで目を閉じてうとうとするのが好きです。

 

浴室の隅には、ちゃんと飲泉出来る場所もあります。
かすかな塩味の、飲み易いお湯。
銭湯のような気取らない感じでありながらも、
飲泉所があるというのは、とてもいいです。
温度的に丁度良いので、夏でも冬でもいいお風呂だと思います。

 

半そでの季節に秋の宮温泉をうろついていると、
秋乃宮博物館」という看板を道路沿いに見つけることが出来ます。
その秋乃宮博物館とは、ここのこと。
ちょっとモダンな感じのする一軒家で、蔦がからまってとてもいい感じ。
一見とてもあやしそうな外観ですが、そんなことはありません。
そしてここにも、とてもいい温泉があるのです。

 

温泉には、博物館に入館すると入ることが出来ます。
1箇所で貸切なので、先客が入っていた場合は、順番待ちとなります。
利用は30分以内くらいにとどめましょう。
このような急な階段を下りて、川原と同じ高さの場所までいきます。
行き着いた先は脱衣所になっており、その奥に浴室への扉が。
そこを開けると・・・

 

このような、とても広々とした浴室が!
いや〜、広いだけでなく、とても雰囲気のある浴室にびっくりです。
コンクリート打ちっぱなしの浴槽が縦に二つ並んでおり、
どちらにも無色透明のきれいなお湯が静かに注がれています。
熱めのお湯で、とてもツルツルする感触。とても気持ちのいいお湯です。
この博物館はもともと旅館だった場所を買い取ったのだそうで、
この浴室も50年もの歴史のある浴室だったのです。
全く手を加えていないそうで、自然に湧出するお湯がそのまま使われています。

 

湯出口から溝を通って浴槽にお湯が注ぎ込まれているのですが、
お湯の調節はこのように石で行われるなど、とてもシンプル。
当然ながら加水などは全く行われておらず、源泉そのもの。
窓から見える川原の様子も涼しげで、環境的にもいうことなしですね。

 

さて秋乃宮博物館とは、ご主人の油谷満夫さん個人のコレクションを展示している場所です。
内容は明治、大正、昭和にかけての、ありとあらゆるもの。ポスターや化粧品、看板、雑誌、服飾だけでなく、
温泉の利用券とか電車の切符まであるのですから、本当に驚きです。
しかも、それらの保存状態がとてもいい。紙類などは湿度や虫に気を遣いそうですが、本当にきれいなまま。
私の親くらいの年齢の方々が多く訪れ、展示を懐かしそうに、また嬉しそうに眺めておられるのは、
見ているこちらも心あたたまる光景です。展示内容も素晴らしいので、是非とも寄られることをおすすめします。
コレクションの量が半端ではなく、レンタル専門の蔵までお持ちだとか。
さらには松島に別館まで出来たそうです。冬季は休業になりますので、念のため。

 

秋乃宮博物館のすぐ近くに、このような看板があります。
このあたりは湯量が豊富で、川原のあたりは掘っただけでお湯が出てくるのですが、
そこが「川原の湯っこ」という場所になっています。
川原までは階段がかけられており、それを下りていきます。

 

階段の近くに、このようにスコップが置かれています。
これを使って掘るのですが、ここのお湯はとにかく熱い!
すでにぽこぽこと湧き出ている場所もあるのですが、
川の水を混ぜないことには、熱すぎて入ることができません。
右の写真のように、川のすぐ横に石を積み上げて浴槽を造り、
川の水を引き込めるようにするとよいでしょう。
当然水着着用OK。この日も小さな子供達をつれた家族が
楽しそうに川原を掘っていました。

 

秋の宮温泉郷のメインの地域よりも、少し鳴子温泉側へ行くと、
左のようなドライブインが目に入ります。
稲庭うどんなどを食べさせてくれるお店ですが、ここにも温泉が。
それが「宝寿温泉」さんです。
このドライブインの受付で料金を支払うと、場所を教えてくれます。
場所はあえて書きませんが、それほど遠くはありません。

 

男女別の浴室のドアを開けると、木造りの浴室と浴槽があり、
そこになんとも言えない色の濁り湯がだばだばと注がれています。
照明もちょっと薄暗くて、とてもいい雰囲気の漂うところで、
しかもお湯がとてもいい。秋の宮では、珍しいお湯です。
丁度良い温度で、見た目に反して味は特に感じませんが、
顔を洗うと強い金属臭を感じます。
鉄のような、オレンジ色の湯の花が沢山見られました。

 

浴室の更に奥には、また別のお風呂が。
大きな窓があって、開けることができるのかもしれませんが、
私はそのままで入りました。
お湯は同じで、こちらのほうが少しぬるめに感じます。
この浴槽も大きく、とても湯量が豊富なのが伺えます。
設備的にも整っており、とても満足のいくお風呂でした。

 

秋の宮温泉郷の中で最も知名度が高いと思われる宿が、
「鷹の湯」さんと「稲住温泉」さんです。
「鷹の湯」さんは、以前も訪れたのですが、時間外でアウト。
2度目はチェックインの時間が迫っており、
(チェックイン開始後は立ち寄り入浴は出来ないので)
「30分以内で出られるのなら」という条件をつけてもらって、
駆け足で入浴させていただきました。ありがとうございます。

 

ここは何箇所か浴室があるのですが、時間に制限があるので、
混浴の露天1箇所のみ楽しんできました。
川沿いにあって、脱衣所は男女別です。
誰もいなかったので、のんびりと手足を伸ばして入りました。
岩で囲まれた浴槽にきれいなお湯が注がれて溢れており、
そこに入りながら周囲の雪景色を眺めるのは、
本当にこの世の極楽気分でありました。

 

岩風呂の他に、木枠のお風呂も。お湯は同じです。
どちらの露天も屋根はついていますが、
風が吹くと雪が舞い込み、顔に当たる。それがまた、いいのです。
内湯の大浴場も入ってみたかったけれど、時間が迫っていたので、
露天だけであがることにしました。
それでも十分、満足感のある入浴となりました。

 

もう1箇所の有名どころ「稲住温泉」さんは、随分前に行きました。
行ったのは平日の日中なので、お風呂を独占できました。
人気がある宿なので、こういうことは珍しいかも。
宿の敷地内に、消防車があったのにはびっくりしました。

 

宿にはいくつもお風呂があり、それぞれ男女が時間交代制となっています。
日中はいれたのは、こちらの小ぶりのお風呂。
小ぶりとは言っても、4〜5人は入れそうな大きさです。
雲形の浴槽があり、その外には樽風呂がならんでいます。
きりっとした熱めのお湯で、かすかに濁りが見られます。
雪が舞う中で入る温泉は、本当に格別でした。

 

その他、瓢箪の形をした浴槽や、
小さいけれどお湯が絶えず溢れまくっている浴槽など、
多彩なお風呂があって、とても楽しめました。
大浴場とこちらのお風呂は、午前と午後の7時頃で入れ代わるようなので、
宿泊してゆっくりと両方入ってみたいものだと思いました。

 

稲住さんと同じお湯を引く宿は、民宿「松の湯」さんです。
こちらも負けず劣らず、とてもいいお風呂で大満足でした。
宿泊したのですが、お食事などもとても美味しく、
女将さんもやさしくて、強く印象に残っています。

 

想像したよりも大きな浴室で、5〜6人は入れる大きさの浴槽。
そこにうすく濁った熱めのお湯が、静かに注がれています。
肌触りはごく普通なのですが、オレンジ色の湯の花が沢山見えます。
匂いは感じず、かすかな酸っぱみのある味。
真冬で体の芯まで冷え切っていた体をこのお湯につけると、
ジンジンと肌が痺れますが、あっという間に体がほぐれました。

 

湯出口の様子はこんな感じ。岩の色が変色しています。
このお湯は稲住荒湯を源泉としていますが、
お湯として湧き出ているのではありません。
人間が近づけないほどの、高温の温泉ガスが噴出しており、
山の湧き水にそのガスを溶け込ませて、温泉としているのだとか。
山の湧き水と言えば、手が切れるほどに冷たいものですが、
その水がここまで熱くなるのですから、そのガスの力はものすごいものがあります。

 

松の湯さんには、露天もあります。露天は多少温度が下がります。
特にこの年は豪雪で、送湯管が一部破損してしまったそうで、
露天はかなりぬるめとなっていました。
でも結果として私好みの温度になっていて、延々と入ってしまった。
雪が降る中、とても雰囲気のある幻想的なお風呂でありました。

 

湯の又温泉です。
秋の宮温泉のメインの地域からは、ちょっと離れています。
国道108号線沿いに案内看板が出ているので、そのとおりに進みます。
宿のすぐ手前あたりにヘアピンに近いカーブがある(しかも道がかなり狭い)のと、
駐車スペースが小さめなので、切りかえしが難しい。
大きな車は要注意です。
こちらの宿は、冬季休業となります。

 

玄関で呼び鈴を押して、料金を払ってから奥の浴室へ。
このような廊下を歩いていきます。
窓の外は渓谷、廊下の左側は客室です。
客室の部屋表示が、湯治宿という感じでとてもステキ。

 

浴室は男女別。入り口に小さめの浴槽、奥に少し大きな浴槽があります。
浴槽のふちに洗面器が積んでありまして、水が満たされていました。
最初はその目的がわからなかったのですが、
浴室を見渡してみると、ここにはカランも何もないではないですか。
つまりこの洗面器の水は、お湯が熱かった時にうすめるものだったのですね。
宿の人に確認してはいないのですが、多分そうでしょう。

 

このようにシンプルそのものの浴室。
洗面器以外は、全く何も備品はありません。
でも2つある浴槽には多少の温度差があり、
お湯を純粋に楽しむには、これだけで十分だと思えます。

 

浴槽奥の岩の間から、お湯が静かに注がれています。
ツルツルする感触の、とても気持ちのいいお湯。
1分間20Lという湯量や、源泉の熱さなども考え合わせると、
この浴槽の大きさはとても適しているのだろうと思います。
無駄に拡大せず、お湯の良さを生かして、
余分なエネルギーも使わない方法。
昔の温泉宿って、こんな感じだったんだろうなあと
渓流とお湯の音しか聞こえない静かな空間で、
一人しみじみとしたのでした。

 

賑やかな温泉街ではないけれど、いつ行っても同じままで迎えてくれるのが、
秋の宮温泉郷に惹かれる理由だと思います。
昨今の温泉ブームに媚びるようなところも見せず、
自分たちの温泉のあり方を変えずにきている温泉地。
時代に応じて変化していく柔軟性がないというわけではなく、
良い意味で「変わらない」でいてくれるというのは、本当に嬉しいことです。
これからも何度も寄ると思いますが、今後も変わらぬ良さで迎えて欲しい。
心から、そう願っています。

 

【最終訪問】
 2006年9月

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