四万温泉 積善館(しまおんせん せきぜんかん)

 @積善館
    群馬県吾妻郡中之条町四万温泉    0279-64-2101
    立ち寄り入浴時間 10:00〜17:00 1000円 年中無休
    立ち寄りで入れるお風呂は、「元禄の湯」「岩風呂」のみとなる。


四万温泉は群馬方面へ行く時に度々立ち寄る温泉街でしたが、
実は宿泊したことはありませんでした。
「積善館」は四万の宿の中でも別格の風格を持つ宿で、
「ここには立ち寄りでなく、泊まってみたい」と常々思っていました。
今回ようやく休みなどの調整が出来たので、行ってまいりましたが、
期待を上回るお風呂であったので、別ページで作ってみました。

 

四万温泉の共同浴場「河原の湯」の近くにある、積善館本館。
赤い橋が目印です。その奥に見えるのが、本館の建物です。
右の写真は、この橋の手前にある建物で、
昔はちゃんと宿として使っていた建物ですが、現在は宿泊などはできません。
どちらの建物も文化財指定を受けており、新しい建物では到底かなわないほどの、
重厚な風格を備えています。

 

左写真が、本館の玄関。立派ですね。
この本館は、日本最古の温泉宿建築物です。
右の写真の橋の左に見えるのは「元禄の湯」という有名な浴室です。
浴室からの廃湯が川に流されて、湯気が上がっています。
その向こうには昔実際に使っていた渡り廊下が見えます。

 

本館は古い建物ではありますが、きちんと手入れされていてきれい。
廊下には赤いカーペットが敷かれています。
部屋にはちゃんとセントラルヒーティングまであって、
必要な部分はちゃんと近代化されています。

 

本館玄関の上には、元禄時代に実際に使われていたという部屋があります。
無料で見学出来ます(宿泊者だけかもしれませんので要確認)。
部屋の入り口は勿論襖だけという部屋がいくつも並んでいますが、
とてもこざっぱりしていて、今でも使えそうな部屋ばかりでした。
廊下の照明は今では電気でしたが、昔は行灯などが並んでいたのでしょうか。
300年もの昔に、この部屋に宿泊した人がいると思うと、
その人と全く縁のない自分でも、なんとなくじんときました。
古の湯治客達も、ここからの景色を眺めて過ごしたのでしょう。

 

玄関の横には昔の帳場も残っています。
その他代々伝わる様々なもの、たとえば歴代女将の簪とか、器とか。
300年という歴史を感じさせる品々が展示されています。
四万温泉の歴史を見つめ続けてきたのだなあと、
これらを見てしみじみと感じました。

 

さて、お風呂に行きましょう。
積善館で一番有名なのは、やはり「元禄の湯」です。
1930年に造られた、当時としては大変ハイカラな建物。
入り口には飲泉所があり、柄杓がいくつも置かれていました。
一杯飲んだら、中に入ってみましょう。

 


こちらが「元禄の湯」。四万温泉のポスターやキャンペーンなどで
ご覧になったことがある方も多いと思います。
2〜3人入れる大きさの浴槽が5つ並んでおり、
そこに絶えずきれいなお湯が溢れています。
アーチを多用したデザインとなっており、当時のままで使われています。
とにかく美しい眺めで、これだけで来た甲斐があったと思わせてくれます。

こちらは男性用の浴室です。女性用も同じで、左右対称になっています。
ちなみにここにはシャワーなどは一切ありません。
温まって、雰囲気を楽しむための場所と思ってください。

 


床はいつもお湯浸し

あがり湯です

脱衣所との間は仕切りなし

1人用のスチームサウナ

 

本館にあるもう1つのお風呂が、「岩風呂」。
こちらは混浴になっています。
急な階段を下りていくと、男女別の脱衣所があります。

 

浴室はこんな感じ。名前の通り、多くの岩を配しています。
お湯はやはり無色透明ですし、全く目隠しなどはないので、
混浴が苦手な人には、ちょっと厳しいかもしれません。
とても優しいお湯で、温度も丁度良く入りやすい。
機会を見て、是非チャレンジしていただきたいです。

 

浴槽から脱衣所方面を見たところ。
このように、脱衣所は見えないけれど気配はうかがえるので、
誰か来たなと思ったら、すぐにあがることも出来ます。
やはりこの宿は元禄の湯が人気ですし、
こちらは混浴ということもあって、比較的すいているようです。

 

積善館には、本館の他に「山荘」「佳松亭」という宿があります。
全てが廊下などでつながっているのですが、
本館からそれらの建物に行く途中にある廊下がこれ。
これもかなり古い時代に作られたものだそうで、
とてもレトロな感じのする渡り廊下でした。
この廊下を行った先に、山荘へのエレベーターがあります。

なお、山荘と佳松亭のお風呂は、宿泊者のみの利用となります。

 

山荘のお風呂は、家族風呂。貸切です。2箇所あります。
やはり家族旅行などでは、皆でワイワイと入りたいですよね。
2〜3人が入れる浴槽が2つ。貸切には丁度良い広さです。
私がこちらの浴室に入っている間、すぐ隣の貸切浴室からは、
小さな子供の声が聞こえてきていました。
親子で楽しく入浴しているようでした。
貸切の予約などはなく、空いていれば利用できます。

 

ちょっと写真が暗いですが、佳松亭の大浴場です。
こちらはシャワーなどもついており、とても近代的な設備です。
大きな窓に沿って、大きな浴槽。20人くらいは入れるでしょうか。
左は、大浴槽の横にちょこんとついていた、小さな浴槽。
温度が多少ぬるかったので、小さいお子さんなどは
入りやすいかと思います。

 

露天は屋根がついて、あずまや風。
佳松亭は山の斜面に沿って造られているので、
山の林などを前にしての入浴です。
私が行った日、というよりも2006年度の冬は雪がとにかく少なく、
露天からの眺めも、秋かと思うくらいでしたが、
普段のこの時期ですと、ほぼ間違いなく雪景色だそうです。
雪見風呂とはなりませんでしたが、冬の寒い空気の中で入る露天は格別。
熱い源泉が注ぎ込まれていましたが、浴槽の温度は丁度良く
とても気持ちのいいお風呂が楽しめました。
宿泊した翌朝もここのお風呂に入って、ゆったりさせていただきました。

 

佳松亭の玄関のすぐ横にも、飲泉所があります。
そして、これらのお風呂にはスタンプが設置されており、
全てのスタンプを集めると、絵葉書の記念品がもらえます。
私も当然全部集めて、お風呂の絵葉書をいただきました。

 

真夜中に起きだしてお風呂に行くのが宿泊の醍醐味だったりしますが、
誰も居ない元禄の湯で一人、お湯の流れる音を聞きながらゆったりと入浴するのは、
昼間とは違った、格別のものでした。
近代的な施設ならでの快適さとは全く違った、古いならではの良さが凝縮している場所です。
新しい建物にすることは簡単でしょう。お金さえあれば出来ます。
あえて古いままで維持しているというのは、本当に大変なことだと思います。
文化財になってしまうと、修理も簡単にはできませんし。
でも結果として、その姿勢に共感できる人たちが多く訪れる宿となっており、
色々な意味でとても快適な宿泊となりました。
古い建物なのでバリアフリー的な面は無理がありますが、佳松亭でしたらその点もOKです。
様々なニーズに応えることのできる、積善館。
「元禄の湯」は立ち寄りだけでも入ることが出来るので、是非とも立ち寄ってみてください。
当時ハイカラだった、昭和モダニズムを感じさせる浴室は、
時代がめぐって、今また昔とは違った新鮮さを感じさせてくれる、やすらぎの空間となっています。

 

【最終訪問】
 2007年1月

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