二岐温泉(ふたまたおんせん)

【交通】
 車:東北自動車道須賀川ICより国道118号線を羽鳥湖方面へ走り、
    岩瀬湯本温泉を過ぎて少し行ったところで二俣川にそって走る道へ左折する。
    そのまま走ると到着。ICからは約40KM。悪路なし。
    宿がそれぞれ駐車場を持っているが、宿に隣接しているとは限らないので、
    利用する宿に駐車スペースは尋ねること。

    マピオンでの周辺地図

【共同浴場】
 立ち寄り入浴のみの施設は1箇所「湯小屋旅館」。
 ただしここはボランティアさんの運営で成り立っており、
 基本的には週末のみの営業で、営業時間もはっきりと決まってはいない。
 あくまでも有志の方々の無償奉仕によるので、そのことを理解して利用して下さい。
 入浴料金は500円。

【宿泊施設】
 数軒の宿がある。

 @天栄村公式サイト宿泊情報 を参照

【泉質等】
 カルシウム硫酸塩泉など。源泉温度は55度ほど。
 無色透明無味無臭、キシキシした硬い感触のお湯だが、湯上りにはしっとり感あり。
 温まり方が強い。

【風呂の様子】
 湯でたこが入ったお風呂は2軒「湯小屋温泉」と「柏屋」。
 「湯小屋旅館」さんは、男女別内湯と混浴露天。きれいなお湯が掛流し。
 「柏屋」さんには男女別の内湯と混浴の岩風呂と、男女別の露天がある。
 いずれも掛流し。露天は川の反対側にある野趣溢れるもの。


つげ義春の作品の一つに「二岐渓谷」があります。
その中でつげは「一番貧しそうな宿はどこですか」と村人に尋ねるのですが、
その宿「湯小屋旅館」は、今でも残っています。
しかし宿のご主人はもう高齢で、宿の切り盛りができないとのことで、
昔からの常連さんたちが交代で、立ち寄りの営業を続けてくださっています。
宿は道路から川沿いに下りた場所にあり、この看板が目印です。

 

つげの漫画に描かれたままの宿の玄関。
立て掛けられている「湯小屋旅館」と書かれた後ろの壁には、
漫画にも描かれているように「湯小屋旅館の由来」が書かれています。
私が訪れた時はちょうどお風呂があいており、すぐに入れていただけました。
(この時は女湯が修理中で、一つのお風呂を貸切で使う状態だったのです)

 

このような廊下を通って、お風呂へと急ぎます。
3月と言っても、山の上ですので、とても寒い。
周囲には、雪がたくさん残っています。
宿の中はきれいに片づけられており、
維持管理してくださっている、元常連さんたちの
この温泉への愛情が随所に感じられ、暖かい気持ちになりました。

 

お風呂はコンクリート造り。楕円形で、4人ほど入れる大きさです。
とてもきれいに掃除されていて、そこに無色透明のお湯が静かに注がれています。
光の加減で緑色っぽく見えるかもしれませんが、実際はそうでもない。
大きな特徴のないように見えますが、とても硬いキシキシした感触で、
見た目以上に成分が濃いことを感じさせてくれるお湯です。
浴槽の温度はちょうどよく、冷えた体が温かいお湯に包まれて、
肌がじんじんするのがわかりました。

 

この管からお湯が注がれています。
成分が濃い事は、この管周辺へのカルシウムの付着で一目瞭然。
浴槽のふちにも、白いものが付着しており、
なんとなく浴槽の表面が滑らかに感じられました。
口当たりも悪くないので、お湯を飲みながらのんびりと、
体の中と外から温まることができました。

 

混浴の露天は、内湯から階段を少し下りた場所にあります。
すぐ横は川で、とてもワイルドなお風呂。
そういや「二岐渓谷」の中で、つげ義春はこの露天風呂で
人と間違って猿に声をかけてしまうんだったっけ。
今はもう猿が入浴に来ることなどないのでしょうが、
入りに来てもおかしくない、大自然に囲まれた素晴らしいお風呂でした。

 

湯小屋旅館さんは立ち寄りだけなので、
温泉街にある別の宿に宿泊しました。「柏屋」さんです。
二岐温泉の宿はどれも川沿いに建てられており、
この柏屋さんも玄関が一番高い位置にある造りとなっています。
客室やお風呂は、玄関から下へ下りて行くのです。

 

ここにはいくつかのお風呂があって、まずは男湯の内湯「滝の湯」。
結構広くて、10人以上は入れそうな浴槽。
浴室内が湯気で曇って、浴室に入るだけで温かい。
やはりキシキシした感触の硬い感じのお湯ですが、
温まり方が強くて、短時間で体の芯からぽかぽかに。

  

こちらは女湯の内湯で「檜の湯」。
名前の通り、ヒノキで造られている浴槽で、こちらも大きい。
きれいなお湯が常時ざあざあと溢れ、そのお湯の音とともに
夜になると隣の宴会場からの歌声がかすかに響いてきます。
う〜ん、こんないいお湯があるのにカラオケとは、勿体ないですなあ。
でもおかげさまで、いつもすいている状態で利用できました。

 

内湯はもう1つありますが、こちらは混浴です。
メインの建物より少し離れた場所にあり、
このような風情のある外廊下を通っていきます。
夜になると電球の明かりだけで、さらにムード満点に。

 

ここは源泉のすぐ近くに浴槽を作ったということのようで、
岩や木など、そのまま残されている部分も多い。
脱衣所の棚の横からも、このように巨木の一部が顔を覗かせています。

 

3〜4人は余裕をもって入れる大きさの浴槽。
コンクリートと石で造られており、壁側は天然の岩石のままです。
洗い場には蛇口も何もなく、本当にただ単にお湯を楽しむための浴室です。

 

壁の岩の割れ目から、お湯がぼこぼこと出ていています。
本当に自然に出るままにまかせてある感じで、
昔の温泉って、こんな感じだったんだろうなあ。
ここに男も女も、みんなで入って楽しくワイワイとやっていたんだろうなあ。

このお風呂には女性時間などがないので、女性にはハードルが高いですが、
すいている時間帯を狙って、是非とも入ってみてください。

 

湯小屋旅館の露天風呂も川っぷちにありましたら、
柏屋の露天も同じく川沿いです。
宿のすぐ横というわけではなく、川の対岸沿いにあるので、
この写真の左側に小さく見えている橋を渡っていかなければなりません。
写真中央に小さく見えているのは、男湯の湯小屋です。

 

お風呂はこんな感じです。
本当に川が目の前。とても涼しくて、景色も素晴らしい。
まだ川っぷちのあちこちに残る雪を見ながら、冷たい風に吹かれながら、
温かいお湯に浸かって、一息入れる。
これぞ露天の醍醐味ですね。

 

女湯は目隠しがされていて男湯ほどの眺望は臨めないですが
まあ仕方がないでしょう。
それでもお湯は同じく抜群なので、本当に気持ちいいです。
竹筒から絶えず注がれるお湯を打たせ湯のように浴びながら、
昔つげ義春が来た頃の二岐に思いを馳せました。
今は車で楽に来ることが出来て、昔ほどの秘湯ではないのでしょうが、
あまり俗化されていない静かな山の中のお湯は変わらず湧き続け、
昔と同じ温かさで、私たちを迎えてくれます。

 

【最終訪問】
 2007年3月

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