湯段温泉(ゆだんおんせん)

【交通】
 車:東北自動車道大鰐弘前ICより国道7号線などを経由して、弘前市内に出る。
    その後県道3号線を百沢方面へ走り、百沢、嶽を抜けてさらに進む。
    嶽温泉で既に県道を外れるが、そのまま進んでいくと到着。
    ICからは約30KM。悪路はないが冬場は雪と凍結の可能性があるので注意。
    宿はほぼ一箇所に集まっており、どこの宿へも徒歩で行ける距離。

    マピオンでの周辺地図

【共同浴場】
 なし。宿が3軒、元宿が1軒あるので、そこで立ち寄り湯ができる。

【宿泊施設】
 3軒「清明館」「長兵衛旅館」「ゆだんの宿」

 @温泉宿清明館
    青森県弘前市大字百沢字寺沢163    0172-83-2165
    立ち寄り入浴時間 応相談 250円
    *現在は宿泊は受け付けていないそうです。
 @長兵衛旅館
    青森県弘前市大字常盤野字湯段萢33-2    0172-83-2151
    立ち寄り入浴時間 応相談 250円
    *素泊まり、もしくは自炊のみ。
 @ゆだんの宿
    青森県弘前市大字常盤野字湯段萢8    0172-83-2234
    立ち寄り入浴時間 8:00〜20:00 300円
 また「元宿」で、現在は立ち寄り入浴のみを受け付けている1軒「新栄館」
 @新栄館
    青森県弘前市大字常盤野字湯段萢    電話不明

【泉質等】
 ナトリウムマグネシウムカルシウム塩化物炭酸水素塩泉。
 貝の澄まし汁のような濁り方。キシキシした感触、炭酸臭。
 塩味と炭酸の渋みが混ざった味。

【風呂の様子】
 いずれも男女別の内湯のみ(新栄館は未入浴なので、詳細不明)


嶽温泉の更に奥にある、湯段温泉。
嶽温泉は観光客がかなり押し寄せますが、
湯段温泉は、言葉は悪いですが忘れられてしまったかのように静かです。
でも「静かな鄙びた山の温泉」を求めるのなら、断然湯段です。
初めて湯段に行ったのは数年前。
数軒の宿がほぼ一箇所に集まっているのですが、
最初に立ち寄ったのは「ゆだんの宿」。

 

3人くらい入れる規模の浴槽と、それに見合った大きさの浴室。
そこに静かにお湯が注がれ、周囲に流れていました。
微かに濁りの見えるお湯で、それほど熱くなく、
夏場でしたが、とても快適な入浴ができました。
窓から見える緑と、静かな環境。
今度は冬に来てみたいな、と思いつつも、しばらく来れませんでした。

 

今度は立ち寄りではなく、ゆっくりとしてみたいと思っていたので、
宿泊することにしました。
湯段には3軒の宿がありますが、そのうちの一つ「長兵衛旅館」さんに
素泊まりで宿泊しました。
この年は雪が少なかったのですが、さすが山の中。
すでにかなりの積雪で、あたり一面真っ白でした。

 

宿の横には小さな犬小屋があって、
このワンちゃんがしっぽを振って出迎えてくれます。
犬は喜び庭駆け回り…と言いますが、寒いのに本当に元気。
寒さよりも好奇心が勝るのでしょうか、私が近付くとすぐに出てきます。
じっとこっちを見ている目が、とてもかわいらしかったです。

 

さて、お風呂です。
男女別の内湯なのですが、いやーこれが素晴らしい!
貝の澄まし汁のように微かに濁ったお湯。
3人ほど入れる大きさの浴槽に、絶えずそのお湯が注がれています。
浴室中が湯気でくもって、浴室の扉を開けただけでほんのりと温かい。
浴槽が1つあるだけの、本当にシンプルな昔ながらの湯治宿という感じです。

 

私が入ると、ざざざざーっと浴室の床がお湯浸し。
なんとも気持のいいものです。
感触はキシキシしており、顔を洗うと炭酸臭。
温度は少々ぬるめでありますが、その分延々と入っていられ、
出る時には体の芯までぽかぽかです。
頭皮にもじっとり汗をかいているのがわかります。

 

この成分堆積の厚さ、見てください。
もう段になってしまっているくらいで、何年でこうなったのかわかりませんが、
相当濃いお湯であるようです。
1泊2日の間に、何度も入らせていただきましたが、
何度入っても、その都度感動しました。
このお湯をここまで堪能できるなんて、やはり宿泊してよかった、と
心から思いました。

 

長兵衛旅館さんのすぐ隣にあるのが、清明館さんです。
こちらも以前は素泊まりか自炊での宿泊ができたのですが、
現在はもう受け付けていらっしゃらないようです。
でも立ち寄り入浴はできますので、入らせていただきました。
肌のつやがとってもいいおばあさんが受付して下さいましたが、
温泉の効能なのでしょうか。

 

こちらも長兵衛旅館さんと同じお湯で、
同じくらいの広さの浴室と浴槽です。
ここもまた素晴らしい。何とも風情あふれる浴室です。
やはりシャワーもカランもない、昔ながらのお風呂。
こういう良さは一朝一夕で出てくるものではありません。

 

壁から突き出た管から、延々とお湯が注がれます。
やはりこちらも、析出物コテコテ状態ですが、
浴室にはスノコが敷かれていたので、
床の状態はわかりませんでした。
やはりいいお湯には変わりなく、ここでもじっくり入浴。
いいお湯というのは、何度入ってもいいものです。

 

最後に、以前は宿だったという新栄館さん。
入りたかったのですが、呼びかけてもどなたもいらっしゃらないようで、
また今度、の決意を胸に湯段を後にしました。
湯段には以前はもっと宿があったようなのですが、
現在残るのはこの4軒のみとなっています。

 

長兵衛旅館と清明館の前には、結構広い空き地のような場所があります。
昔はここに、共同湯があったのだとか。
宿に宿泊した人も、皆その共同湯に入ったのでしょう。
現在はすべての宿にお湯が引かれており、それぞれが内湯を持っています。

どの宿の浴槽の大きさも、ほぼ同じくらいだったのがとても印象に残りました。
お湯の投入量に対して、最適と思われる浴槽の大きさだったからです。
湯段のお湯は温度が高くないので、それと投入量のバランスを考えると、
現在くらいの浴槽の大きさが一番いいのでしょう。
古の人たちが大切にした、温泉という大地からの恵み。
以前は共同浴場で使っていた量を分配した時に、どの宿も浴槽の大きさを過剰にしなかった。
お湯のことをとても大切に考えている温泉地なのだと思います。
雪深い山奥の、静かな静かな温泉地。
静かに溢れるお湯の音だけを聞きながら、私の年末は過ぎていったのでした。

 

【最終訪問】
 2006年12月

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